練馬稲門会 小史 その3

ニューイヤーコンサートのスタート

 前号でサークル活動のスタートと展開により、当会に縦糸、横糸が通され、会の活性化と組織化が図られてきたことを記したが、何かもうひとつサークルの枠を超えて会員が総力を挙げて取り組むシンボリックな催事を立上げたいという機運が高まってきた。それは2007年に当会は創立30周年という節目とも重なるものであった。

 時あたかも2006年春、そのような状況の中で荻野隆義会長から早稲田大学交響楽団のコンサートを当会で主催・開催してはどうか・・いう提案が出された。大学当局からも、稲門会の地域社会への貢献という命題も打出された主旨にも合致するものであり、同時に会の組織化、会員の新規拡大にもつながる催事として位置つけることができるものと期待された。

 その是非について、役員会で何度か熱心な論議が行われた。当初は「親睦組織としての当会にとって、これはひとつの興行でありそれに伴うリスクが大きい」「チケット代が高すぎる」「果たしてチケットは売れるのか、どうやって売るのか、赤字になったらどうするのか」「準備期間もなく唐突だ」など、いろいろ異論、反論が出た。

 荻野隆義は、それらの意見に真摯に耳を傾けながら、興行にリスクは付き物であるが、これを実施することによって「大学に貢献する、地域社会の文化に少しでも貢献する、当会の今後の発展の礎にする・・」などを粘り強く語り、結果大方の賛同を得ることとなった。2007年は大学125周年という節目にも当たり、また練馬区は板橋区から分離独立して区制60年というタイミングでもある。

(ちなみに、2007年には大学創立125周年記念事業募金に対し、当会から692万円の寄付を行っている。累計では1,512万円の寄付を行っている)

 この実現に向けて、2006年7月から10回に及ぶ打合せが持たれた。これに初期から関わったのは、荻野隆義、柳洋子、冨塚辰雄、小松袈伴、菅野純範であった。その結果、2007年1月20日に練馬文化センター大ホールにて「練馬稲門会主催・早稲田大学交響楽団二ューイヤーコンサート 」として第一回を実施することが決定した。 

 夏から冬にかけ、ワセオケ事務局との打ち合わせと選曲、練馬区との折衝、会場の選定、会員への周知など山ほどの課題に取り組む傍ら、区内の主要な団体、企業を60以上巡回し、協力の要請を行った。これに主体的に関わったのは、柳洋子、華岡正泰であった。 

 第1回の実行委員長は、当初からこれに関わってきた柳洋子が担当となり、チケット担当、広報担当、受付係り・・などの各担当もキメ細かく組織化され、総力で臨む態勢が整った。実行委員長は、第2回は冨塚辰雄、3回以降は小松袈伴が就いている。
 
第1回のコンサート~第9回まで、そして第10回へ

 第1回は大学の125周年にも当たり、同時に地域社会に貢献するという趣旨を実現するため、練馬区の緑化率30パーセントを目指す「みどりを育む基金」(後の練馬みどりの葉っぴー基金)への寄付を行うこととなった。これは現在まで継続している。 

 役員始め全会員の力により、1,384席は年末にはほとんど完売となった。指定席は3,500円、自由席は2,000円に設定された。この入場料はワセオケの定期演奏会の料金をベースとしたものだ。
チケットの販売は、役員、幹事が中心的に行った。同時に校友会事務局から入手した練馬区在住の約7.000名のOB名簿をもとに、コンサート開催を知らせる案内と当会への入会を呼びかけるDMを発送した。有志が何日かに分けて事務局に集まり、宛名書きなど黙々と作業に取り組んだ。延べ数にすると優に100名を超える会員が作業にあたった。

 1月20日(土) 18:00に開演したコンサートには、続々と来場者が詰めかけ開始前から熱気あふれる会場と なった。開演に先立ち、荻野会長から志村豊志郎練馬区長に「練馬みどりの葉っぴー基金」への寄付金の贈呈が行われた。練馬区は当初協賛という立場であったが、2回からは後援になった。  曽我大介指揮による演目は、ヴエルディ、ベルリオーズ、R・シュトラウスなどなじみのあるクラッシックの名曲が2時間にわたり演奏された。最後には「都の西北」が演奏され、それに合わせて会場も一体となって合唱し、感動の一夜は成功裏に終了した。当初はこの実現に危惧を抱いていた人も多かったが、この会場の熱気はそんな不安を吹き飛ばして余りあるものがあった。いわば、会員全員が待ち望んでいたイベントであり、当会の団結力が試された結果でもある。
当日配布されたパンフレットには、資生堂、損保ジャパン、J:COM、東京トヨペットなど各社が広告出稿で協力している。

第2回目となる2008年以降のコンサートは以下の通りである。
●第2回 2008年1月19日(土) 17時~
 指揮 田中雅彦 演目:ワーグナー、エルガー、J.シュトラウスⅠ世、Ⅱ世など
●第3回 2009年1月17日(土) 17時~
 指揮 田中雅彦 演目:ウエーバー、R.シュトラウス、レハール、J.シュトラウスなど
●第4回 2010年1月16日(土) 17時~
 指揮 田中 雅彦 演目:チャイコフスキー、ワルトトイフェル、J.シュトラウスⅡ世など

●第5回 2011年1月22日(土) 17時~
 指揮 曽我大介 演目:べートーベン、メンデルスゾーン、J.シュトラウスⅡ世など

●第6回 2012年1月21日(土) 17時~
 指揮 田中雅彦 演目:ワーグナー、ドボルザーク、油谷一幾・和太鼓と管弦楽、戸山雄三・管弦楽のためのラプソディなど
●第7回 2013年1月19日(土) 17時~
 指揮 寺岡清高 演目:R.シュトラウス、J.シュトラウス、シュトラウスⅡ世など

●第8回 2014年1月18日(土) 17時~
 指揮 寺岡清高 演目:ベートーベン、J.シュトラウスⅡ世
●第9回 2015年1月17日(土) 17時~
 指揮 曽我大介 演目:チャイコフスキー、J.シュトラウスⅡ世

第10回を迎えて・・「継続は力である」
 第9回まで当会が総力を挙げて取り組んできたコンサートも、2016年で10回を迎えることとなった。当初はいろいろな不安
や危惧があったが「継続は力となる」という荻野隆義の言葉通り、いまや当会のシンボリックな催事として定着してきた。これを継続してきたことにより、会としての組織力、求心力が高まり、同時に毎回7,000名に及ぶ校友OBにダイレクトメールを出すことにより、新規会員の獲得にも大きな成果があった。大学に、地域社会に、校友OBに貢献するという意図は一応の成果をあげたといえる。

 迎える第10回は、2016年2月11日(木・祝日)、練馬区と共催という形で行われることが決定した。10回という節目となるが、これから先20年、30年先まで継続できるかどうかは、今後の課題として当会の力量が測られることでもある。

2015・4  広報・ICTチーム 鈴木奎三郎 記

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